大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 平成6年(行コ)2号 判決

名古屋市北区辻本通三丁目三一番地

控訴人

株式会社安藤産業

右代表者代表取締役

安藤鋭治

右訴訟代理人弁護士

竹下重人

打田正俊

打田千恵子

名古屋市北区清水五丁目六番十六号

被控訴人

名古屋北税務署長 小杉弘

右指定代理人

西森政一

井上治夫

鈴木幸雄

種村敏

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、控訴人の昭和五七年六月一日から昭和六一年五月三一日までの四事業年度の法人税について、昭和六三年三月一六日付けでした原判決別紙「申告・決定一覧表」記載の各賦課決定処分(平成元年六月五日付け変更決定により一部取り消された後のもの)のうち、同表の「上記重加算税額のうち過少加算税相当額」欄記載の金額を超える部分をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文一項と同旨

第二事案の概要

次の一ないし六のように加除、訂正するほか、原判決事実及び理由欄第二と同一であるから、これを引用する。

一  原判決四頁六行目「21」を「18」に、同八行目から九行目にかけての「借入れをし、本件各係争年度期末に」を「借入れをした上、」に改める。

二  同五頁三行目の次に改行のうえ「これに対して、被控訴人は、別表二の1ないし4の「本件支払利息」欄記載の利息につき、支払利息の架空計上であるとして、別紙明細書No.5欄記載のとおり重加算税賦課の対象とした。」を、同九行目の次に改行のうえ「これに対して、被控訴人は、別表三の「売上金額」欄記載の売上金額につき、売上除外があるとして、別紙明細書のNo.7欄記載のとおり重加算税賦課の対象とした。」を加える。

三  同六頁九行目「(2) 別表二の1から4について」から同七頁九行目までを削り、同一〇行目「〈4〉」を「(2)」に改め、同八頁四行目「また」の下に「、借入金の内から実際に事業資金として使用したものもあるばかりか、そもそも」を加える。

四  同一一頁八行目から末行までを「なお、控訴人は、右のとおり借り入れた金員を別表1ないし4の「通知預金預入額」欄記載のとおり通知預金とし、これを解約して借入金の返済に充てたものである。」に改める。

五  同一二頁七行目「借入れをしたにもかかわらず」を「借入れをし」に、同一一行目「借入金等」を「借入金」に改める。

六  同別表二の2の借入月日欄の上から二段目(区分Aの岡信/城北の借入月日を示す欄)「5.31」を「5.30」に改める。

第三争点に対する判断

当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次の一ないし七のように加除、訂正するほか、原判決事実及び理由欄第三と同一であるから、これを引用する。

一  原判決一四頁八行目「甲二三」から「乙三ないし八」までを「甲二ないし四及び一九の各四、甲二三及び二四の各一、二、甲三八の一、二、乙三ないし九、乙一八、乙一九の一、二」に改める。

二  同一六頁四行目「差額」の下に「(ただし、昭和五九年五月末日の融資分については、差額の一部)」を加え、同行「一週間」を「一週間程度」に、同五行目「戻し利息」を「戻し利息等」に改め、同六行目「事業資金とされていたが」の下に「、借入金の大部分は、通知預金にされていたものであって」を、同一一行目「五月末日」の下に「ころ」を、同一二行目「一日」の下に「から同月七日まで」を加える。

三  同一八頁四行目の次に改行のうえ「ちなみに、別表二の1ないし4記載の区分Aの借入れに係る借入金のうち通知預金として預け入れられた金額は、同表の「通知預金預入額」欄に記載のとおりである。」を加える。

四  同一八頁一〇行目から同一九頁一二行目でを次のように改める。

「(二)前記第二の一5、右(一)の各事実及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は、控訴人代表者の意向により各金融機関の貸付担当者の了解のもと、利益を翌期に繰り越すことを目的として借入れから長くて一週間程度、短いときは翌日に当たる翌期早々に借入金を返済し、利息の払戻しを受けることを前提として、別表二の1ないし4記載のとおり、決算期末のころ、期間一年の新規の手形借入れを行って一年分の利息を前払し(区分Aのもの)、既存手形を期間一年の新規の手形に書き換えて一年分の利息を前払し(区分Bのもの)、又は既存手形を期間三か月の新規の手形に書き換え一年分の利息を前払し(区分Cのもの)、次いで、翌期早々に借入金の返済をすることによって前払した利息の大部分について戻し利息として払戻しを受けたものである。」

五  同二〇頁二行目「期末」を「期末ないしはその直前」に、同五行目から同一一行目までを次のように改める。

「控訴人は、本件において隠ぺい又は仮装の行為は存在しないと主張するけれども、本件借入れは、外形は貸付期間を一年としながらも、実際には、翌期早々に返済して利息の払戻しを受ける意図を有し、金融機関の貸付担当者からもそれについて了解を得ていたものであり、このような場合に、損金に計上するため一年分の利息が存在するとしてこれを前払することは、事実を仮装したものというべきであって、利息の前払とその払戻しの事実等が帳簿等に記載されているから、あるいは、控訴人と金融機関との間において右外形に符合する消費貸借が成立しているからといって、事実の仮装行為がなかったものということはできない。」

六  同二二頁三行目から同四行目にかけての「租税負担を回避する意図」を「正当な税額の全部又は一部を免脱するとの認識」に改める。

七  同二二頁七行目「甲三八の一」の下に「、二」を加える。

第四結論

よって、右と同趣旨の原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条本文、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 上野精 裁判官 熊田士朗 裁判官 岩田好二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例